【寺田のシナリオ作成:第15回】中盤で提示するべき課題と情報〜その2〜

さて、中盤から終盤の展開が決まった所で、
今まで設定から考えてきたネタを実際の展開の上に乗せていきましょう。


設定からストーリーや展開が決まる事もあれば、
ストーリーや展開に合わせて設定を微調節する事もシナリオ作成です。
セッションが始まれば、GMは更に細かく微調節する事になりますが。(アドリブですね)


一番重要なのは、第13回で書いた「終盤の為に用意するべき情報」中でも
「終盤の泉に向かう為の理由付けとなる情報」です。
この情報に問題/不備があれば、シナリオ全体が崩壊します。


善なる存在が封印されている泉にパーティを向かわせる為には、善なる存在に至る情報を手に入れるイベントが必要でしょう。
今までにネタとして考えていたアイディアの中では・・・善なる存在と行動を共にした魔導師が関係が深そうです。
昔存在していた魔導師ならば、その住居であった遺跡に秘密が隠されているというのは?
(生きていると話がややこしくなるので死んでいる事が望ましい)
探索する場所は、教団の打ち棄てられた寺院としたので、
信奉する者が少ない教団の司祭だった男と前述の魔導師を同一人物とすれば良いでしょう。


遺跡は、既に荒らされているが隠し部屋があるか、もともと存在が知られていなく、騎士と女貴族がたまたま知りえたのどちらかが自然。
面白いから、両方のアイディアを活かして、騎士と女貴族がたまたま知りえたが、遺跡には隠し部屋もある事にしましょう。
(そこには、パーティにとっては終盤へのボーナス情報/アイテムが隠されている)
もちろん、現在、遺跡を根城としている邪教の集団も同じ情報を求めているのです。
これで、終盤に向かって必要な情報の出し方の大枠が決まりました。


この大枠の情報に肉付けをしていきます。肉付けをする情報は、今までに構築した設定と展開を考えて矛盾が無い様にします。
肉付けをするべき情報は、以下の通り。

  • 打ち棄てられた寺院を根城にしている邪教の集団
  • パーティの障害としたいので邪教にしているので、特に邪教の中身は問いません。ただ、彼らは女貴族と騎士と同様に過去の「善なるもの」とこの遺跡の関係を知っていて、「善なるもの」を己の邪な目的の為に利用しようとする為に探索をしています。彼らは、「善なるもの」の真実を知りません。物語の中盤で出てくる彼らが心底「善なるもの」の存在を聖なる存在だと考え、行動する事で、パーティは「善なるもの」に対する疑いを持っていたとしても、それは低下するでしょう。

セッションで時間を使わないようにする為に、メインで探索を行っている教団員は人数は多いが弱く、邪教の教主はパーティ全体と互角かそれ以上がいいでしょう。教団員は下手に強いと時間が掛かるので弱く、しかし人数が多い事で「バレルと面倒」とパーティに感じてもらい、知恵を使ってもらう事が目的です。ここまで障害があるのですから、隠し部屋はパーティは事前に知ってても良いでしょう。(邪教の集団は知らない)また、教主が強力な理由は、シナリオの「ラスボス」と勘違いしてもらう事がありますが、それ以外に「無理して戦わなくても済む敵」だからです。ゲーム的に賢く「戦わずに目的を達する」のを期待して(もしくは作戦を立てるのもあり)、愚直に正面突破できない事を最初にわからせるイベントなりあっても良いでしょう。同時に邪教がパーティの目の前であまりに倫理的に見過ごせないなど、「パーティが心情的に戦わざるを得ない状況」にするのであれば、教主は弱くするべきです。(そういう状況を作って且つゲーム的に行動させる事を問うシナリオもありますが、今回はもうちょっと万人向けにしましょう)

  • 打ち棄てられた寺院
  • 「善なるもの」と共に居た魔導師の二つの顔の設定を明確にする為に、以下のような設定にします。打ち棄てられた寺院は、今は信仰している者も居ない宗教の寺院です。この宗教は、ローカルな宗教であり、あまり詳しい事は伝わっていません。その理由は、宗教そのものが「善なるもの」を生み出す為に作られたものであり、魔導師であり司祭だった男が興した宗教だからです。男は、「善なるもの」を生み出す為に宗教を興し、そして、それは成功したのです。(その後の話はちょっと後で検討)
  • 打ち棄てられた寺院の司祭だった男(善なる存在と共にあった魔導師)
  • 「善なるもの」と共に居た魔導師が善だったのか悪だったのかは、あまりに悪だった場合はそのように伝承に残るでしょうから、善か、本性を人前では隠した悪だったでしょう。彼の本性に関しては「善なるもの」の正体を考える時に一緒に考えましょう。
  • 打ち棄てられた寺院の隠し部屋
  • 打ち棄てられた寺院の隠し部屋に関しては、「善なる存在」の封印の解除方法と泉の場所が記されています。この隠し部屋は、司祭であり、魔導師だった男の魔導師としての私室と考えると自然でしょう。(内装もそのように考えて設定すると良いと思います)


最後の展開のヒントにする為にも、善なる存在に関する話は、「陽と陰」の二種類の情報があると良いでしょう。
つまり、「善なる存在で繁栄を得た話」、「善なる存在で繁栄を得た人物が最後には不幸になった話」などが良さげです。
パーティは、結局は一つになるこの話を、別の側面から知るのです。完全に分かってしまうと、
最後の封印解除に対してパーティが過剰に反応する恐れがあるので、ほんの少しだけ「繋がっているかも・・・」と思うぐらいの方がいいでしょう。
(そういう意味ではシナリオの作り方と銘打っていても初心者GM向きのシナリオではありませんね・・・今更ながら(^^;)


さて、この情報を活用して中盤のシナリオ展開をもう少し次回で詳しく考えて見ましょう。